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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第20章 Until We Meet Again... ※





訓練兵が生活をする本棟から少し離れた場所に、キースの部屋がある別棟は建っていた。

ここを卒業してから随分とたつのに、教官の部屋のドアをノックすると思うだけで異常に緊張する。
開けてすぐに怒鳴られるのではないか、と一瞬不安になった。

一呼吸置いて、ドアを叩く。

「サクラ・ブルームです」

すると、すぐに“入れ”という懐かしい声が聞こえてきた。


「失礼します、教官」

胸に拳を当てて敬礼すると、キースは険しさが染み付いた顔を僅かに緩めた。

「ほう・・・思ったよりも調査兵団の制服がサマになっているじゃないか、ブルーム」
「ご無沙汰しておりました」

そういえば、キースはもともと調査兵団の団長を務めていた。
やはりこの双翼のエンブレムを見ると懐かしいのだろうか。

「エルヴィンから連絡は受けている。二日ほど貴様をこちらで預かって欲しい、と」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。訓練や給仕のお手伝いなど、何でもします」
「いや、 その必要はない。休養のためだと聞いている」

恐らくサクラの体調のことまで連絡を受けているのだろう。
しかし、キースはそれ以上深入りすることはせず、しばらくサクラに目を向けていた。
そして昔を懐かしむように目を細める。


「お前はここを卒業する前、“人を変えたい”と言って調査兵団を志望していたな」

「・・・・・・・・・」

サクラは驚きを隠せなかった。
まさかキースがそのことを覚えているとは思わなかったからだ。

「どうだ? 調査兵団に入ってなんとか生き延びているようだが、お前が変えようとしていたものは変わったか?」


“ 人を変える、ということはどういうことだ? ”
“ 壁外で生きる術を見つける。その力をつける。今の人類は、獣以下ですから ”


まだ壁外の世界がどういうものか、まったく知らなかったあの頃。
実際に壁外で大勢の死を目の当たりにし、敗北と挫折を嫌というほど味わってきた教官に言った言葉だった。



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