【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
少し考えれば分かることだ。
エルヴィンに死が迫ったら、リヴァイは身代わりとなってでも彼を守る。
人類の未来、そして何よりサクラを守るため?
エルヴィンは、人類の未来を守るべき立場にある人間だ。
それを許すわけがない。
きっと大きな戦力を失うくらいなら、単なる司令塔でしかない自分の死を受け入れる。
その結果、壁外でサクラを守る人間がいなくなっても仕方ないと思うだろう。
「それでいいんです、団長」
左胸に右拳を当てる。
「私一人の人間の命よりも、尊いのは人類です」
だから、どうか苦しまないでください。
私を生かすべきか、なんて下らないことで悩まないでください。
「私はいつでも人類のため、そしてエルヴィン団長、貴方のためにこの心臓を捧げるつもりでいます」
怖れを微塵も見せずに微笑むサクラ。
それまで驚きとショックが入り混じった表情だった、エルヴィンの口元に笑みが浮かぶ。
「なるほど・・・リヴァイが君に惚れ込む気持ちが分かる。そして、ロゼが君を心配する気持ちも」
「・・・!」
エルヴィンとロゼが深い関係にあることを、すっかりと失念していた。
二人が人目を憚りながら合瀬を重ねる間柄であることは知っている。
「あの、ロゼと団長って・・・その・・・」
「君とリヴァイのような関係にあるのかと聞きたいのかな?」
「・・・・・・・・・・・・」
サクラが押し黙ると、エルヴィンは肩をすくめて切なそうに微笑んだ。
「残念ながら、私達は恋人ではない」
肉体関係にあるのは明らか。
しかし、恋人同士ではないと言い切ったエルヴィンに、サクラは戸惑いを隠せなかった。
「彼女は・・・私を恨んでいる。私は彼女のその感情を利用しているんだよ」
「え・・・」
「そうでもしなければ、彼女に触れることができない」
一瞬、話すことを躊躇ったのだろうか。
少しの間を置いて、その深い碧眼を揺らす。