【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
重い、重い沈黙が流れた。
それを破ったのは、静かなサクラの声。
「・・・エルヴィン団長」
エルヴィンは、罵られるのを覚悟していた。
ここまで正直に吐露してしまったことに、自分でも驚いているくらいだ。
「ありがとうございます」
サクラの口から出た言葉は、エルヴィンが予想もしていなかったものだった。
「今の話で礼を言われるようなところなどないと思ったが」
「いいえ。団長は、私に兵長のことを話してくれました」
リヴァイが自分を深く愛してくれている。
命を懸けてでも、守ろうとしてくれている。
リヴァイ自身の口からではなく、彼が最も信頼している人から聞くと、そのことが心の奥底にまで強く響いた。
「私は今、世界で一番幸せだと自負しています。リヴァイ兵長と出会い、愛していただいたこともそうですが・・・」
まだ驚きを隠せないでいる団長に目を向けて微笑む。
「たとえ間接的であっても、エルヴィン団長のお力になれたことがとても嬉しいんです」
「私の力?」
これまでの話で、確信した。
エルヴィンは、自身の使命に命を懸ける覚悟でいる。
でも一つだけ憂いているのは、死んだ“後”の調査兵団と人類の未来。
巨人と戦うためには、リヴァイの力が必要不可欠。
自分が切り札となることで役に立てるのなら・・・
「調査兵団を選んだキッカケは、団長のお側で戦いたいと思ったからです。貴方のためなら、私はこの命を投げ打っても構いません」
「サクラ・・・」
「だから、団長が私をどのように扱っても、それを受け入れます。たとえ・・・リヴァイ兵長を生かすために、私を殺す選択をしても」
先程、エルヴィンがあえて言葉にするのを避けたことを、サクラは静かに口にした。