【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「・・・・・・・・・・・・」
沈黙が流れる。
聡明で決断力のあるエルヴィンが、未だ答えを出せずにいた。
だが、確信していることもある。
「君が調査兵である限り、君を生かすも殺すも私次第だ」
それは、残酷ともいえる言葉だった。
団長の権限を行使すれば、一番危険な場所に配置することも、壁外調査に帯同させないこともできる。
「同時に、私は調査兵団団長として、人類にとって大きな希望である“駒”を失うわけにはいかないと思っている」
サクラは、“ああ・・・そうか”と思った。
エルヴィンが何故、最初に謝罪したのか。
そして、これから何を言わんとしているのか。
漠然とながら、それが分かったような気がした。
「私は君を、リヴァイに対する“切り札”としている。君に対する愛情を利用し、最強の駒を動かそうとしている」
「・・・・・・・・・」
「私は君がいなくてもリヴァイを屈伏させることができる。しかし、あいつは難しい性格だから、誰にでも従うわけではない」
調査兵団に勧誘する時も、力でねじ伏せた。
自分以外の誰が、彼に対して同じことができただろう。
「私が死んでも、君さえ生きていれば誰でもリヴァイを動かすことができる。簡単なことだ、君を彼の代わりに守ると誓うか、もしくは君を人質にすればいい」
これを卑怯と捉えられてもいい。
リヴァイの力は、それだけ人類にとって必要なもの。
彼の意志に関係なく、その力は人類のために発揮されるべきだ。
それだけは、エルヴィンが確信していることだった。
「もちろん、リヴァイが生きていることを大前提としている話だがね」
状況によってはリヴァイを生かすため、サクラを切り捨てる選択をしなければならない。
切り札は、出す相手がいなければ意味が無いのだから。
だが、エルヴィンはそこまで口にすることは無かった。
今はただ、そのような局面が訪れないことを祈るのみ。