【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
エルヴィンがリヴァイと出会った時、ここまで他人を想うような人物には見えなかった。
しかし、ファーランとイザベルを失い、数え切れないほどの部下を失い、リヴァイは彼らの鎮魂として意志を継ぐことを自らに課した。
そうすることで自分を保とうとしているようにさえ見えた。
巨人に支配されているこの世界を、再び人類の手に戻す。
不器用なあの男にとって、サクラは理想とする世界の象徴なのだろう。
優しく、争いを好まず、暗い陰に光をさす存在。
リヴァイは生い立ちがそうさせているのか、無意識にそんな世界に憧れを抱いているのだと思う。
「リヴァイは、壁外において自分の側ほど危険な場所はないと確信している。だから、君をハンジに任せている」
リヴァイさえ願えば、エルヴィンはいつでもサクラの配置換えを承諾しただろう。
でも、彼は頑なに愛する人を自分の班に入れることを拒んでいる。
「そして、私に君の命を託している」
サァ・・・と強い風が吹く。
エルヴィンのしっかりとまとめられた金髪が、僅かに乱れた。
それはまるで、団長の心の中を表しているようだ。
「リヴァイは、私が必ずサクラを守ると信じている。だから、私に危険が及ぶことあらば、盾となって死ぬ覚悟ができている」
今、エルヴィンは天秤に測ろうとしていた。
人類と、サクラ一人の命を。
それはすなわち、
リヴァイの命と、エルヴィン自身の命。
人類を守るために、最強戦力を生かすか、
サクラを守るために、調査兵団団長を生かすか。
本当に生かすべき命は、どちらなのだろうか。
兵士として・・・いや、一人の男として、どちらを選ぶべきなのか。