【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「その狼に感謝しねぇとな」
「え?」
「そいつのおかげで、俺はお前と出会うことができた」
もし、サクラが命を落としかけていたら。
何があっても、どのような姿となっても、必ず守る。
「お前は幻覚だと言ったが、俺は本当にその狼がいると思う」
「リヴァイ兵長・・・」
「だから・・・」
月明かりを浴びる、サクラの白い頬をそっと撫でる。
「今度、その山に探しに行くぞ。壁外じゃねぇから、桜を見にいくよりも簡単なはずだ」
それは意外な言葉で、サクラは思わず首を傾げた。
「狼を見つけて、どうするんですか?」
「礼を言うに決まってる」
まるで狼が人間の言葉を理解すると思い込んでいるような口ぶりに、堪えきれずに吹き出した。
人類最強の兵士にこんな純粋な部分があるということを、この世界の何人が知っているだろう。
「何笑ってるんだ」
「すみません、とても嬉しくて・・・兵長と二人で遠くへ出かけることができるのですね」
「まるで俺がどこにも連れていってねぇような言い方だな。まぁ、事実だが」
「私はどこかに行きたいというわけではありません。兵長と一緒にいられれば、それだけでいいんです」
「・・・・・・・・・・・・」
腕の中のサクラが見せる微笑み。
どうしてこんなにも愛おしいのか。
お前が望むのなら、壁外だろうが、未知の土地だろうが関係ない。
「どこへでも連れてってやる・・・ずっと一緒だ」
お前は俺の妻なのだから。
握ったこの手は離さない。
「・・・ありがとうございます、兵長」
貴方に愛され、心から幸せだと思える。
そして同時に、心から申し訳なく思う。
嘘をついてしまっているということ・・・
でも、力を出さないようにすれば大丈夫なはず。
筋肉量を上げるのを封印すればよいだけのこと。
それさえ守れば、兵士を続けていても支障はないはずだ。