【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「兵長は小柄ですが、その力は一個旅団に相当する」
シャツ越しでも分かる、深く割れた腹筋。
はたして脂肪など存在するのだろうか、と首を捻りたくなる。
指を這わせていると、少しくすぐったいのか眉根を寄せた。
「・・・それがどうした?」
「人間はもともと、脳によって発揮する能力を制御されているそうです。でも、それが解除されれば、考えられないような力を発揮することができる」
「・・・・・・・・・・・・」
「リヴァイ兵長、貴方のように」
向かい合わせで横たわるサクラを抱き寄せている右手が、ピクリと動いた。
青みがかった三白眼に、僅かだが絶望の色が浮かぶ。
「サクラ、お前・・・」
「ハンジさんが言っていました・・・これは、誰にでも備わっている力だと」
だから、自分も発揮することができた。
「でも、誰にでも許された力ではない、と」
だから、リヴァイと違って自分の体はこの力に耐え切れず、心臓が限界を迎えようとしている。
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは苦しげに表情を歪めた。
ハンジは自分よりも早くサクラの異変に気がついているようだった。
あれは、サクラが後輩を失って初めて、心の中に存在している闇をさらけ出した日のこと。
“変なことを聞くが”と前置きされ、リヴァイはハンジからある質問を受けた。
“ サクラの体で・・・どこか変わった点はない? ”
あの時、てっきり体の外部のことだと思った。
だからこそ“変に思ったことはない”と答えた。
サクラは、自分のように力を常時解除しているわけではないだろう。
そのたびにこの体にどれだけ負担がかかっているかと思うと、背筋に冷たいものが走る。
「・・・いつからだ? 自分の体が変化した“瞬間”があったはずだ」
すると、サクラは静かに頷いた。
「はい、ありました」
あの時の光景は、今でもはっきりと覚えている。
「そのおかげで、今こうして私は貴方に触れることができる」
そして、リヴァイを初めて見た時に感じた、あることも・・・