【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「こうして向かい合わせに座っていると思い出すな・・・」
「何をですか?」
「桜を見に壁外へ行ったあと、お前を抱くキッカケがなくて悶々としてた頃のことだ」
「そんな時期があったんですか?」
目を丸くするサクラに、リヴァイは盛大なため息を吐いた。
まったく・・・どれだけ我慢させられたと思っているんだ。
自分の我が儘で二人だけの壁外遠征を実行し、それを政府に咎められた。
審議にまで発展し、エルヴィンとハンジがいなかったら今ごろは除名処分となっていただろう。
もともと志願して入団したわけではないが、今ではここが自分の生きる場所だと思っている。
その後、部屋で待たせているサクラに会いたい一心で、真夜中に馬を走らせた。
しかし肝心のサクラは、待ちくたびれたのかテーブルで寝てしまっていた。
その寝顔があまりにも無垢で、愛おしく。
溜まりきった欲望を忘れさせてしまうほど、大切だと思った。
そして、こうして向かい合わせに座り、朝まで共に眠った。
「あの時はお前、寝こけていて聞いてなかっただろうから、もう一度言う」
右手でサクラの頬を包む。
「愛している」
ピクリと、柔らかな肌が強張った。
「何度でも言おう・・・俺は、お前を愛している」
抑揚のない口調。
しかし、その言葉には激しいまでの感情が込められていた。
「だから・・・お前のことはできるかぎり知っておきたい」
「兵長・・・」
今、サクラの体では何が起きているのか。
一時的なものなのか、それとも長期的なものなのか。
「お前の心臓に、何があった?」
サクラはそっと目を閉じた。
“あの時”の光景が瞼の裏に蘇る。
この人には話しておくべきだ。
「兵長・・・ベッドで横になって話をさせてもらえないでしょうか」
「お前がそうしたいのなら」
あの時に感じた温もりと、安心感。
貴方ならきっと、同じものを与えてくれる。
二人でベッドに横たわり、リヴァイの懐に体を寄せる。
耳を寄せると、トクントクンと兵士長の力強い心臓の鼓動が聞こえてきた。
「私は時々・・・兵長と同じ力を使うことができます」
「俺と同じ力?」
「ええ・・・“貴方”と出会うために手に入れた力です」
サクラはリヴァイの唇にそっとキスをし、微笑んだ。