【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「で、ハンジには何を調べられた?」
思い出したように聞いてくる。
肝心なことは忘れていないようだ。
「ああ・・・いろいろと」
「ヘンな所を触られたり、弄られたりしてねぇだろうな?」
「分隊長はそんなことしませんよ」
「イヤ、分からねぇ。なんていったって、変態クソメガネだからな」
眉間にシワを寄せるその姿は、いつものリヴァイだ。
サクラは笑いながら、ティーカップに紅茶を注いだ。
まだ温かいそれは、さっき給湯室でペトラが淹れてくれたもの。
「お茶をどうぞ」
「すまない」
少し濃いめの紅茶は、酔い覚ましにもいいだろう。
一口啜ったリヴァイは、首を傾げてサクラを見た。
「・・・これは、お前が淹れたのか?」
「いえ、ペトラが」
持つというより掴んでいるといった方が正しいカップを見つめ、納得したように頷く。
「やはりな」
「私が淹れたのと違いますか?」
「ああ、違う」
ペトラが毎日リヴァイにお茶を淹れていることは、サクラも知っている。
「やっぱりペトラの方が美味しいですか?」
「ああ、そうだな」
「・・・・・・・・・・・・」
はっきりと言われてしまい、ちょっとショックを受けているとテーブルの向こうから手が伸びてきた。
そして、頭をワシワシと撫でられる。
「なに、しょげてる。お前が淹れてくれたものなら、たとえそれがションベンだろうが飲んでやる」
「・・・おしっこは飲ませないですよ、いくらなんでも」
「もののたとえだ」
それぐらい気づけ、と睨まれる。
でも嬉しかった。
実際、リヴァイはサクラが出すものなら、失敗して黒焦げになったクッキーでも文句言わずに食べる。
「ごめんなさい」
貴方に見つめられると、心の底から笑顔になれる。
「いつかペトラのような紅茶が淹れられるよう、がんばりますね」
貴方に触れられると、心の底から温かい気持ちになれる。
「・・・お前は今のままでいい」
だから、どうかこのままいつまでも自分のそばにいて欲しい。
リヴァイの少し冷たい手が、サクラの髪、頬、そして唇を撫でる。
開けたままのカーテンの向こうには、白い月が光っていた。