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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第20章 Until We Meet Again... ※





部屋に戻ると、鍵はかかったままだった。

リヴァイと一緒に生活ができるようにと割り当てられた、上官用の広い寝室。
エルヴィンが気を効かせてくれたのか、大人が並んで寝ても余りある大きさのベッドを用意してくれた。

案の定、ドアを開ければ、中は真っ暗だった。


「リヴァイ兵長、戻ってない・・・」


心臓がチクリと痛む。

医務室で目を覚ました時、駆け寄ってくれたリヴァイの心配そうな顔。
あんな表情をさせてしまったことがつらい。


“ お前が心臓を抑えながら倒れたと聞いて、俺の心臓が止まりそうになったじゃねぇか ”

“ もし何か問題が見つかれば、絶対に俺に知らせろ。いいか、隠すんじゃねぇぞ ”


「・・・・・・・・・・・・」

自分の体のことについて、どこまで話せば良い?

筋肉量を上げるため、大量の血液を全身に送りだす心臓には、大きな負担がかかっている。
その結果、心臓そのものが肥大し、いつか鼓動を止めるだろう。

でも、そのことを告げれば、リヴァイは間違いなく自分に兵士を辞めるよう言う。


「私は・・・それでも兵士でありたい・・・」


ポツリと呟き、持っていたティーセットをテーブルに置いた。
向かい合わせに一脚ずつ置いてある椅子の、片方に座る。

趣味というわけではないのだろうが、よくリヴァイはもう片方の椅子に座って短刀を磨いていた。
別に職務で使うものではないが、昔からの癖なんだという。
手を動かしていると、考えがまとまるのだとか。

だからそんな時は邪魔にならないよう、サクラは離れた所で本を読んだり、花に水をあげたりして静かにしていた。
しかし、ふと視線を感じてそちらの方に顔を向けると、とても優しい瞳で見つめられていることに気づく。


なんですか?


そう聞くと、兵士長は静かな声で答えてくれる。


何でもない。ただ、お前を見ていたかっただけだ。


そんな何気ない会話が、幸せだった。
いつまでも、いつまでも続いて欲しいと思う。

テーブルの上のティーセットを見つめるサクラの瞳が揺れた、その瞬間。


ゆっくりと開くドアの音がした。





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