【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「そこがあいつの可愛いところだ」
それだって、“色の無い世界”に一人で生きていた頃のリヴァイには無かったもの。
サクラと出会って少しずつ変わった。
リヴァイは強い男だ。
どんな苦しみにも、悲しみにも耐えてしまう。
しかし、それが度重なれば、彼はいずれ防衛本能から感情を完全に欠落させるだろう。
友として、そんな姿は見たくない。
だから、サクラ。
君は彼のそばにいなくてはいけない。
これは単なる自分の我儘。
それでも君は、調査兵団に入団したその日からずっと、この我儘に付き合ってきてくれた。
“ 俺はこのクソみてぇな世界に生まれた時から、人の温もりとやらを感じたことがない ”
リヴァイに、人の温もりを教えてくれた。
“ 誰かに触れてもらった記憶も、抱きしめられた記憶もない ”
優しいその手で触れ、抱きしめることで愛情を教えてくれた。
この世界は残酷だ。
それでも今、リヴァイはサクラが触れるもの全て、愛するもの全てを守ろうとするだろう。
一緒に触れ、一緒に愛していくだろう。
そしていつか、この世界そのものを愛していくだろう。
サクラがそこで呼吸している限り・・・
「ハンジさん・・・? どうしたんですか?」
ボーッと顔を見つめてくるハンジに、首を傾げる。
「いや、なんでもない。サクラに心の中で、“ごめんね”と“ありがとう”って伝えていただけだ」
「変なハンジさん」
ニコリと笑う、この笑顔がリヴァイはたまらなく好きなんだろう。
ハンジはサクラの頭をグシャグシャと撫でた。
「さあ、戻ろうか」
「はい」
空には雲一つ無く。
北極星を中心に広がる星が、ハンジとサクラの頭上に輝いていた。
澄んだ空気。
静寂に包まれた世界。
交わした会話。
全てが、ハンジの胸に永遠に刻まれることとなる。
悲しい記憶の、一番美しい光景として・・・