【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「サクラ・・・私は君のためを思って忠告しよう」
ハンジは言いにくそうにしながらも、口を開いた。
「兵士を辞めるべきだ。壁外に出続ければ、巨人に殺される前に心臓発作を起こして死んでしまうよ」
「ハンジさん・・・」
きっと、そう言うだろうと思っていた。
サクラは微笑み、首を横に振る。
「ありがとうございます。でも、私は兵士を辞めません」
「サクラ・・・!」
「私はずっと・・・巨人を怖れるあまり、人が人間性を失っていく姿を見るのが辛かった。でも、調査兵になって分かったんです。巨人と戦うためには、人間性をも失わなければならない、と」
それができるエルヴィン団長。
「人間を凌駕する力が必要だ、と」
それを持つリヴァイ兵士長。
「そして、ハンジ分隊長は・・・」
もしかしたら、調査兵になって一番の出会いは貴方かもしれない。
「人間と巨人の垣根を超えようとしている。巨人が存在する意味、そして共存する道を探している」
月明かりの下で、無数の花を背に柔らかく微笑む。
「私は、そんな分隊長を尊敬しています」
貴方は、誰よりも人間らしくあり、そして人間らしくない。
血が流れるのは嫌いだ・・・
たとえ巨人のそれであっても。
「だから、これからも分隊長の歩む道を追いかけていきたい。調査兵として・・・」
もし、ここで自分の体を優先して兵士を辞めたら、きっと後悔する。
家族が巨人に殺されたあの日、誓ったではないか。
この命を人類の未来の礎にする、と。
部下の言葉に、メガネの奥の瞳が大きく開いた。
そして、ため息を吐きながら苦笑いをする。
「困ったね・・・そんなに言われちゃ、もう反対することができないじゃないか」
「ごめんなさい。でも、私を調査兵として育ててくれたのはハンジさんです」
「あーあ、それじゃリヴァイに怒られちゃうかな」
あはは、と笑う。
そして心の底から思った。
サクラに出会えて良かった。