【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「お前・・・俺の言うことを聞けねぇのか。休めと言ってる」
「心配してくださるのは嬉しいですが、壁外調査を抜けるわけにはいきません」
「サクラ・・・」
口調は荒々しくないものの、明らかに怒っている。
サクラを心配する気持ちが余計に苛立ちを募らせているのだろう。
前にも同じようなことがあった。
肋骨とアキレス腱をケガして、全治3カ月と診断された時だ。
リヴァイはまるで、全身が逆鱗で覆われているかのような雰囲気を張り巡らせていた。
「・・・兵士長命令だ。俺が許可するまで職務に戻ることを一切禁じる」
「兵長!」
我慢できず、体を起こしてリヴァイの袖口を掴む。
心臓が嫌な音を立てたが、表情には出さないようにした。
「そんな私情の入った命令には従えません」
「私情だけじゃねぇ。たかが10キロ程度の距離も走れねぇような奴は、壁外では足手まといなだけだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「兵士として最低限のことができねぇんなら、隊から離れておとなしくしてろ」
リヴァイの言うことはもっともだ。
壁の外では、些細なことでも大損害になり得る。
分かってはいるものの、引き下がれない自分もいた。
「リヴァイ兵長」
「悪いが、今はお前の言葉を聞いてやるつもりはない」
もし、リヴァイがもう少し器用な男だったら。
サクラをただただ失いたくないという気持ちを、優しい言葉で伝えられたかもしれない。
もし、今のサクラにもう少し余裕があったら。
そんなリヴァイの気持ちを理解してやれたかもしれない。
しかし、残念ながらその“もう少し”はここになかった。
「兵長、私は・・・!」
珍しくサクラが声を荒げた、その時。