【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第4章 Geranium
次の日。
同じようにリヴァイが実験場に行くと、ハンジ、モブリット、サクラに加えて、102期の兵士が一人いた。
名前は知らないが、顔でネス班に所属している者だと分かる。
「さぁて、今日も実験を始めるか!がんばろうね、ヨアヒム!」
リヴァイがいつものように椅子に座ると、ハンジはサクラと新兵を呼んだ。
「まずは君達が巨人に話しかけてみてくれ。何でもいい、思っていることをぶちまけてくれていいんだ」
意思の疎通を試す実験なら、すでにやっている。
なぜ、もう一度試す必要があるのか、とリヴァイは眉をひそめた。
「じゃあ、サクラからいこうか」
「は、はい」
サクラは少し動揺しているようだった。
おそらく、ハンジの意図がわからないのだろう。
「巨人に対して、言いたいことは色々あるでしょ。腹の中に溜めているモン、全部出してみて」
「・・・わかりました」
サクラは頷くと、巨人に噛まれないギリギリの位置まで進む。
そして大きく息を吸った。
さて、どんな罵声が出てくるものか。
この新兵は友人を殺されたばかりだ。
怨み、辛みは相当なものだろう。
「お前達、巨人は!悲しみを感じたことはあるの?」
ハンジは、モブリットに何かを記録するよう、目で指示をした。
「怒りを、感じたことはあるの?」
もちろん、巨人に反応はない。
目の前のサクラを喰おうと歯を立てている。
「私は喜怒哀楽のうち、お前達の“喜”と“楽”の表情しか見たことがない。人間を捕食して“嬉しかった”の?人間を殺して“楽しかった”の?」
サクラは腰を落とし、杭で顔を地面に固定されている巨人の目線と同じ高さまで屈んだ。