【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第19章 Dear My Father... ※
特別作戦班が第57回壁外調査の詳細について聞いたのは、1週間前のこと。
夜、エレンを除く全員が食堂に集められ、兵士長の口からそれを明かされた。
トロスト区内の森にある、旧調査兵団本部。
石造りの古城は頑丈だが、音が響きやすい。
リヴァイはエレンの部屋がある地下室から物音がしないことを確認し、エルヴィンから言付かっている特別作戦班の使命を伝えた。
壁外では、エレンにキズ一つ付けないよう尽くせ。
場合によっては身を投げ出し、盾となれ。
命の限り。
それを聞いたエルド、グンタ、ペトラ、オルオは一瞬言葉を失った。
しかし、すぐに四人とも頷いてみせる。
「分かりました」
エルドがそう言うと、他の三人もそれに続く。
最初こそエレンを警戒していた彼らだが、三週間も生活を共にしているうちに仲間として受け入れるようになっていたのだろう。
まるで弟分のようなエレンを守ることに異論はない。
「・・・・・・・・・」
まったく疑いを持たずに自分を見つめてくる部下を前に、リヴァイは居心地の悪さを感じた。
・・・本当の目的を伝えるべきだろうか。
しかし、エルヴィンがそれを固く禁じている。
この四人が五年前に調査兵でなかったという、それだけの理由で。
「エルド、グンタ、ペトラ、オルオ」
順に名前を口にすると、左胸に拳を当てて姿勢を正す四人。
「頼んだぞ」
お前達に人類の希望を託す。
しかし、無駄死にだけは絶対にしてくれるな。
そんな想いを込め、リヴァイはそっと頷いた。