【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第19章 Dear My Father... ※
「・・・・・・んっ・・・」
中からくぐもった声が聞こえ、それまで高鳴っていた心臓が一瞬にして凍りつく。
それは間違いなく女性のものだった。
さらに持続的に聞こえてくる、ソファーの軋む音。
「リ・・・ヴァイ・・・兵長」
その声には聞き覚えがあった。
不穏な空気を感じ、血の気が引いていく。
「サクラ・・・?」
間違いない。
何故、サクラがリヴァイの部屋にいる?
いや・・・それよりも何をしているのか。
ザワザワとした嫌な気持ちになり、いけない事だと分かっていながらドアをそろりと開けた。
細い隙間から目に飛び込んできたもの。
それは、静かながらも官能的な光景だった。
開け放した窓から吹き込む風に、白いカーテンが揺れる。
窓のある正面とは垂直に、壁に沿って置かれているソファー。
表面をボタンで止めた、落ち着いたエンジ色の本革に覆われ、アームや脚には鋲が打ち込まれている。
リヴァイはそれに浅く腰掛けていた。
風でページがめくれる、机の上で開いたままの本。
床に落ちて、忘れ去られたペン。
その近くにブーツとズボンが脱ぎ捨てられていた。
本能のまま荒々しく裸になったというよりは、二人で戯れている間にひとつひとつ脱いでいったのだろう。
机から道しるべのように、ソファーまで点々としている。
「あ・・・」
リラックスしている兵士長の股間の上に、向かい合わせでまたがる女性。
普段は体中を締めているベルトがダラリと垂れ、腰巻からはスラリとした脚が伸びている。
「サクラ、動けるか?」
腰を支えるように添えられた手は、優しくその体を撫でる。
「・・・兵長、恥ずかしいです」
顔を赤くして困ったようにリヴァイにしがみついているのは、やはりサクラだった。
リヴァイは服を脱いでいないものの、ベルトが外されている。
ここからは見えないが、二人の性器は結合しているのだろう。
時折、サクラが切なげな声を上げた。
「・・・・・・・・・・・」
その光景に、ペトラは吐き気にも似た感覚を覚えた。