【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第19章 Dear My Father... ※
「兵長!! 増援を集めてきました!!」
「ペトラ! お前は下の兵士を介抱しろ!」
増援を確認し、リヴァイはすぐに立体機動を発動させた。
「残りの全員は右を支援しろ!!」
「え・・・・・・?!」
「俺は左を片付ける!」
右からは巨人が1体。
すでに戦闘している兵士がいる。
そして、リヴァイが向かった左側には2体。
まだ誰も応戦していない、まさか一人で戦うつもりなのか?
「兵長!」
その場で一番危険な仕事を、躊躇なく選ぶ。
そして、いとも簡単にそれを遂行してしまう。
リヴァイという人間はよく知っているつもりだ。
でも、今日はどこか違う。
そっか・・・ずっと感じていた胸騒ぎとはこれのことかもしれない。
自暴自棄とすら思えてしまうような戦いぶり。
自分の班から離れ、単独行動ばかりしているように見える。
まるで、いつもよりも巨人を倒そうとしているみたい・・・
“何か”を忘れたいかのように・・・
「兵長・・・」
ペトラはリヴァイを追いかけたい気持ちを抑え、言われた通りに下で倒れている兵士の所へ向かった。
「うう・・・」
「しっかりして!」
一度、巨人に腹を噛まれたのだろう。
肋骨のすぐ下に大きな歯の痕がある。
「リ・・・ヴァイ兵長・・・」
うなされながら、何度もリヴァイの名前を呼んでいる。
長いことリヴァイ班に所属していた兵士だ、無理もない。
「頑張って!」
絶対にこの命は救わなくては。
そうしないと、リヴァイ兵長は“また”失ってしまう・・・!
懐からハンカチを取り出し、傷口を直接圧迫して止血を試みた。
しかし、血は止まる気配もなく、兵士の服に赤黒いシミを作っていく。
『 服を汚したのがションベンで良かったな。自分の血や臓物で汚れるよりは遥かにマシだろ 』
あの時の言葉が蘇る。
「だめ・・・お願い」
手の平に血が吹き出しているのを感じる。
みるみるうちに兵士の顔が青ざめていった。