【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第19章 Dear My Father... ※
「オイ・・・」
2体とも倒し終えたリヴァイが、こちらへやってきた。
無表情だが、部下の容体を気にしているようだ。
「ペトラ、そいつはどうだ!?」
「兵長・・・・・・」
まだかろうじて生きているものの、だんだんと体温が低くなっていく兵士。
「血が・・・・・・止まりません」
「・・・・・・・・・・・・・・」
リヴァイの表情にさほど変化は見られない。
しかし、明らかに雰囲気が変わった。
「兵・・・長・・・・・・」
息も絶え絶えになっている兵士が名前を呼ぶと、躊躇なく傍らで膝をつく。
「・・・・・・何だ?」
「オ・・・オレは・・・・・・人類の役に・・・立てた・・・でしょうか・・・・・・・」
その瞬間、リヴァイの瞳が揺れた。
「このまま・・・何の役にも・・・立てずに・・・死ぬのでしょうか・・・・・・」
最後の力を振り絞って差し出された、真っ赤な鮮血に染まった右手。
それを、兵士長は強く握った。
「お前は十分に活躍した。そして・・・・・・これからもだ」
死にゆく兵士が不安にならないよう。
「お前の残した意志が、俺に“力”を与える」
彼が心から尊敬する、兵士長の一部となることを。
「約束しよう。俺は必ず!!」
伝えるために・・・
「巨人を絶滅させる!!」
「・・・・・・・・・・・」
兵士の腹から吹き出していた血が、止まる。
「兵・・・長・・・・・・」
心臓の鼓動が止まった証拠だった。
「彼は・・・もう・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
握ったその手も、もはや冷たくなっているのだろう。
リヴァイはそっと兵士の胸の上に置いた。
「最後まで聞いたのか? コイツは・・・」
「ええ・・・きっと聞こえてましたよ」
リヴァイ兵長。
貴方はもう、十分すぎるほどの哀しみを耐えてきた。
「だって・・・安心したように眠っている」
貴方の喪失感を和らげることができるのなら、私はどんな言葉でも紡ごう。
「・・・・・・・・・・・・」
貴方に未来への希望を持ってもらえるのなら、私はこの身を粉にしてもいい。
「ならいい・・・」
部下の死を悼み、瞳を揺らす。
ペトラは静かにそんなリヴァイを傍らで見つめていた。