【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
温かい腕に包まれながら、閉じた瞼の向こうに薄桃色の世界が広がる。
リン・・・と鈴の音がした。
“ サクラは大きくなったら何になる? ”
ああ・・・とても懐かしい声。
優しい気持ちになる。
“ 私は、お兄ちゃんのお嫁さんになりたい ”
“ じゃあ、サクラが大きくなってもステキな人に出会えなかったら、僕のお嫁さんになってね ”
“ お兄ちゃん以上にステキな人なんていないよ ”
“ いくらでもいるさ。それだけじゃない、誰よりもサクラのことが大好きって言ってくれる人がね ”
あどけない夢を語る子どもの頭を、お兄ちゃんは優しく微笑みながら撫でてくれた。
その子どものせいで命を落とす運命にあることを知らずに・・・
地下で惨殺されたお兄ちゃんは、私を責めたりはしなかった。
それどころか、私の幸せを願ってくれた。
“ サクラはもう、本当にお嫁さんになるべき人と出会ったよ ”
お墓の前で聞こえてきた、お兄ちゃんの声。
私が“誰?”と聞いても、その人の名前を教えてはくれなかった。
“ 残念ながらその人もサクラも気づいていない。でも、その人はサクラを待っているよ ”
でも、私が結ばれたのはお兄ちゃんの知らない人。
大人になって、調査兵団に入団してから出会った人だった。
“ いずれまた出会うその人が、きっと俺の理想を形にしてくれるから ”
そう願っていた、調査兵のお兄ちゃん。
誰よりも壁外に興味を抱き、壁内の人類の未来を憂いていた人。
そして私は今。
壁外で圧倒的な力を発揮し、壁内の人類の希望となっている人のお嫁さんになった。
「お兄ちゃん・・・きっと祝福してくれるよね・・・?」
この人ならお兄ちゃんの理想を形にしてくれるかもしれない。
リン・・・と、再び鈴が鳴った。