【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「リヴァイ」
「・・・今度はなんだ、エルヴィン」
おそらく、サクラと同様に胸が一杯になっていたのだろう。
エルヴィンに名前を呼ばれても、すぐに返事をすることができなかった。
「お前の私室についてだが、もう少し広い部屋に移るか?」
「部屋?」
「サクラと一緒にそこで生活をすればいい。仮の婚姻といえど、共に暮らしたいだろう。どこかに新居を構えるというなら話は別だが」
「・・・いいのか?」
「俺の部屋の隣になるが、お前達さえよければな」
「そりゃ、助かる。こいつは遠慮して、なかなか上官の居住棟に来たがらないからな」
嬉しそうに表情を緩めたリヴァイに、エルヴィンは悪戯っぽく笑った。
「だが、いくら厚い壁があるからといって、あまり激しく盛るなよ。他人の情事には首をつっこみたくない」
「分かった、気をつけよう。こちらも、大事な妻の喘ぎ声で誰かの勃起の手助けをしたくないからな」
サクラはふと脳裏にロゼの姿がよぎった。
リヴァイと自分、そしてエルヴィンと親友が隣同士として穏やかな生活を送れたらどれだけ楽しいだろうか。
時折、エルヴィンが自分を見つめるその瞳に、ここにはいないロゼを想っているのが痛いほど分かるからこそ・・・
そんな日が来ればいいと、切に願う。
ロゼ。
私達の調査兵団団長は、貴方を愛しているのよ。
何が障害となっているのかは分からないけれど、どうか優しく受け止めてあげて欲しい。
「リヴァイ、ベッドの用意ができたぞ」
作業をしていたミケが、手についた埃を払いながらこちらにやってきた。
大人二人がなんとか横になれる程度の大きさだった祭壇が、立派なベッドに変わっている。
「悪いな、ミケ」
「気にするな」
36センチもある身長差の二人は、並ぶとまるで大人と子供だ。
しかし、共にその実力は複数の巨人を相手にすることができる、人類最強クラス。
きっと何か通じるものがあるのだろう。
「今夜の礼と言っちゃなんだが・・・今度二人で飲みに行こう、奢る」
「リヴァイからの誘いなら、断れんな。だが、嫁さんの愚痴は聞かんぞ」
二人もまた、かけがえのない友人だった。