【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「へ、兵長! これはいったい、どういうことですか?」
「だから、お前に誓いを立てるためにエルヴィン達に手伝ってもらったって言っただろ」
何度言わせりゃ気が済むんだとばかりに怪訝な顔をされる。
それでもまだ状況を把握できずにいると、エルヴィンがクスクスと笑いながら口を開いた。
「リヴァイ、お前は本当に説明が下手だな。サクラが混乱するのもしかたない」
「チッ・・・じゃあ、代わりに頼む」
リヴァイにバトンタッチされたエルヴィンは、サクラに向かって微笑む。
「我々の国では一組の男女が夫婦となるためには、三人の証人が必要だ。そして、国王に誓いをたてる」
「ああ・・・」
そうだった。
ウォール教が力を増してきてはいるが、壁の中には“国教”と呼べるものがない。
結婚は国王からの許しを得て、初めて成立するもの。
しかし庶民が簡単に謁見などできるわけがないから、このような礼拝堂でその土地を治める貴族などを前にして、互いに誓いを立てる。
その際には、すべてを見届ける三人の証人が必要となる。
「リヴァイは今回の壁外調査の途中で礼拝堂を見つけたんだ。結婚式のことを教えてやったら、どうしてもやると言って聞かなくてな」
「・・・オイ、それじゃ俺が駄々をこねたみてぇだろ・・・」
「違うのか? 私は壁内に帰還してからでも良いだろうと言ったのに、野営地の側にも礼拝堂があるとハンジに聞いたら、すぐにゼラニウムを探しにいったのは誰かな?」
「・・・・・・・・・・・」
「しかもまだ活動している巨人もいるというのに」
「・・・ああ・・・俺が悪かった」
エルヴィンの言うことに口を挟むべきではなかった。
論戦で勝てるわけがないのに。
「ゼラニウムは“真実の愛”という言葉を持つそうだな。これだけの量を集めるのは流石に骨が折れたよ。だが、それもリヴァイと君のためだ」
ミケとハンジも頷くが、少しも恨めしそうではなかった。
むしろ、リヴァイの願いを叶えてあげられたことを喜んでいるようにも見える。
「それでどうせなら、我々三人が君達の婚姻の証人になろうというわけだ。これで納得がいったかな?」
「そうだったんですか・・・本当にありがとうございました」
サクラがエルヴィン達に深く頭を下げると、腕を組んで黙っていたリヴァイが口を開いた。