【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「正直に言おう。俺は兵士としてこの世界を救おうなんて、これっぽっちも思っちゃいねぇ」
「・・・・・・・・・・・・」
「こうして調査兵団の兵服を着ているが、お前達のように心臓を人類に捧げるつもりもねぇ」
そういえば・・・
リヴァイが敬礼をする姿を見たことは一度もない。
「こうしてエルヴィンのもとで兵士をやってるのは、俺の仲間が巨人に殺されたからだ。その死体は、そりゃあ無惨なものだった・・・・・・」
リヴァイが悔しそうに唸った。
まだ風化していない想いが、そこにある。
「ファーランとイザベルを死なせてしまったのは、他でもねぇ・・・この俺だ」
ここが礼拝堂だから、懺悔のつもりなのか。
抱きしめられているせいで顔が見えないから、真意が分からない。
「だから、俺はこの世界から巨人をすべて抹殺したい。そうしなきゃならねぇんだ」
でないと、自分を許すことができない。
あんな思いをするのは自分だけでいい。
そのために必要な力はつけてきた。
「サクラ・・・お前は、俺が怖いか?」
「いいえ」
「お前は、俺を信頼しているか?」
「はい」
数秒の沈黙。
ふわりとゼラニウムの香りが二人を包んだ。
「俺を・・・受け入れてくれるか?」
“真実の愛情”
その花言葉を持つ香りに包まれて・・・
「はい」
サクラは、そう答えた。
貴方がどれほど恐ろしい人だろうと、
人類を敵に回すことになろうと、
貴方のすべてを受け入れる。
すると、リヴァイはそっとサクラから体を離した。
そして、ジッと見つめる。
「・・・“君ありて幸福”・・・だったな・・・」
それは、ゼラニウムが持つ、もうひとつの花言葉。
リヴァイの瞳が揺れた。