【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「サクラ」
リヴァイの声で我に返る。
「こっちへ来い」
顔を上げると、自分を見つめる瞳と、差し伸べる右手が目に入った。
震える足でゼラニウムで彩られた椅子の間を通り、祭壇へと向かう。
そして、すぐそばまで来たサクラを、リヴァイは優しく抱きしめた。
「驚かせてすまない」
「・・・あの・・・これは・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは黙っていた。
ぴったりと寄せ合う胸から、心臓の鼓動を感じる。
それは、リヴァイの口以上に心の中を物語っていた。
リヴァイ兵長・・・緊張してる・・・?
「お前に伝えたいことがある」
耳元で囁く声が、ほんの少しだけ震えている。
胸が苦しくなるほど愛しい。
サクラは今、ハンジが外にいることを忘れていた。
「俺は、お前を愛してる」
誰もいない礼拝堂に響く、リヴァイの言葉。
そして、二人の息遣い。
「俺は昔、ウォール・シーナの地下街に住んでいた・・・自分で言うのもおかしいが、人間以下のクソ野郎だった」
リヴァイが過去を語るのは、初めてだった。
「あそこの連中は地上に憧れるもんだ。そのためなら人を殺すことも厭わない」
どうして・・・
そんな話をしてくれるのだろう。
リヴァイはこれまで、過去を話したがらなかった。
その気持ちは自分も痛いほど理解できるから、サクラもわざわざ尋ねなかった。
だが今、リヴァイは自らそれを語っている。
「あの頃、俺には仲間がいた。ありのままの俺を受け入れ、信頼し、怖がらずにそばに居てくれた奴らだった」
サクラを抱きしめる手に力が入る。
彼らは今、どうしているのか。
それは聞かずとも、リヴァイの鼓動で分かった。