【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「ハンジ分隊長?」
「ちょっといいかな? 今すぐに来て欲しいところがあるんだ」
よほど慌ててサクラを探していたのだろうか、首筋にはうっすらと汗をかいている。
そういえば、この野営地に到着してから姿が見えなかった。
エルヴィンも、ミケも、そして・・・リヴァイも。
「何か新しい発見でもあったんですか?」
忙しなく前を歩くハンジの背中に向かって問いかける。
しかし、返事はなかった。
ハンジは興奮すると周りが見えなくなるから、きっと巨人のことについて何か分かったのだろう。
これから実験をするつもりなのかもしれない。
建物の外に出ると、そこにはモブリットがハンジの馬とシェリーを連れて待機していた。
「ありがとう、モブリット。サクラ、ちょっと遠出になるけどいいかな?」
「え? 今からですか?」
「ああ、そうだ」
もう9時を回ってるというのに、エルヴィンの承諾無しにどこへ行こうというのか。
しかし、上官の命令に逆らえるわけがない。
「分かりました、お供します」
するとハンジはニッコリと笑って馬に跨った。
シェリーも遠征での疲れを見せず、頭を下げて“乗れ”と促してくる。
周りに木の無い道とはいえ、真っ暗な中を馬で駆けるのは神経をすり減らした。
ランプを高く掲げても、前を走るハンジの馬の尻がようやく見える程度だ。
10分ほどいったところで、ハンジは急に馬を止めた。
「サクラ、着いたよ」
暗くてよく見えないが、そこにあるのは小さな家のような造りの建物のようだ。
木製の重そうな両開きのドアがある。
「シェリーとこの子をどこかにつないでくるから、サクラは先に中へ入っていて」
「そんな、分隊長にそんなことさせられません! 私が馬をつないできます」
「いいのいいの。中に入ったら、ロウソクに火でもつけて待ってて」
「はあ・・・」
サクラは首を傾げながらも頷いた。
ハンジの部下になって、もう2年がたとうとしている。
突拍子もない言動や、生き急ごうとする性格には慣れたつもりだが、やはり時々理解の範疇を超える。