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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第18章 Till Death Do Us Part ※




細い三日月が、黒い雲の隙間からかろうじて顔を覗かせている。
その弱々しい光が、やけに目に沁みた。


ああ、目が痛い・・・

そう思った瞬間、涙が流れていないことに気がつく。


あれ・・・悲しいはずなのに、何で泣いていないのだろうか。

死に対する感覚が麻痺しているのだろうか。

自分が調査兵だから・・・?
死んで当たり前の世界に、こうして足を踏み入れるのが仕事だから?


“ 独りで死ぬのが怖いの・・・”

同期はそう言って、自分の手を放そうとはしなかった。

死は・・・怖いのだろうか。
私はいったい、どのようにその時を迎えるのだろうか。


そう思った瞬間。
切なそうに揺れる三白眼が目に浮かんだ。


“ 死ぬんじゃねぇぞ ”


リヴァイ兵長は、壁外調査の前晩に必ず言う。
そして、私の唇と胸にキスをする。


きっと私も、死ぬ時は恐怖するだろう。
でもそれは孤独が怖いのではなく、リヴァイ兵長を失望させてしまうことが怖い。

あの人はとても強い人だから、悲しみに暮れることはないだろう。
涙することもないと思う。
人類の希望として、エルヴィン団長のもとで戦い続けるのだろう。


「リヴァイ兵長・・・」


ずっと貴方のお側に居たい。


すみません、最近は死に向き合うといつもこう思ってしまうのです。
心臓を捧げた兵士にあってはならない願望だとしても・・・


私が死んで・・・貴方の心から自分が消えてしまうのが・・・怖い。


リヴァイの端正な横顔が脳裏をよぎった、その時だった。



「あー、いたいた! サクラ!!」


明るい声が石の廊下に響く。
振り返ると、そこには頬を上気させたハンジがいた。






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