【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
いやだなぁ、もう・・・
思い出ばかりが頭に浮かぶなんて・・・
「貴方と一緒に調査兵をやってこれて良かった。ありがとう」
その声が届いたのだろうか。
乾いた血がこびりついた同期の唇が笑みの形を作る。
「・・・ヒュー・・・・・・・ヒュー・・・・・・ヒ・・・」
ゆっくりと、ゆっくりと。
そして、呼吸は止まった。
同期は安らかに眠り、その尊き心臓は人類の未来に捧げられた。
「・・・どうか、安らかに。貴方の死を無駄にしないことを、この自由の翼に誓う」
同期の胸元に縫い付けられた、調査兵団のエンブレムに触れる。
また一人、友人を失った。
でも、いつからだろう・・・
友の死を目の当たりにしても、涙を流さなくなったのは。
こんなに大勢の重傷者の中にいても、恐怖を感じなくなったのは。
サクラはそっと同期の髪を梳かし、顔の汚れを拭き取った。
最後に別れの言葉を告げ、そこから立ち上がる。
「・・・・・・・・・」
悲しみが無いわけではない。
だが、ここは壁外。
しかも壁から数十キロ離れた地点だ。
彼らの死を遺族に伝えるため、生きて戻らなければならない。
それが生き残った者の使命だから、悲しみに暮れている暇などない。
サクラは同期の死を報告するため、作戦会議室へと向かった。