【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
「不思議・・・」
右の肩を抉り取るように喰われている同期。
一度巨人に頭から咀嚼されかけたのか、耳と右目も潰されている。
そばかすがトレードマークだった可愛らしい顔が、見る影もなくなっていた。
「・・・痛みが・・・消えていく・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
先ほど、大麻を打ってもらった。
このまま同期の心臓は静かに鼓動を止め、人類の未来の礎となる。
「良かった・・・なら、少しは休めるね」
「うん・・・」
もう、十分苦しんだ。
ラクになってもいいだろう。
同期は瞼を閉じず、天井を見上げていた。
その目の焦点は合っていない。
ああ・・・もう、意識がないんだ。
彼女の手を握るサクラの手に力が入る。
訓令兵団こそ違ったものの、同時期に調査兵となった。
日々、一緒に訓練し、遊び、語らい、そして死線を潜り抜けてきた。
それも今日までというのか・・・
「いろいろあったよね・・・」
思い出はたくさんある。
食事を取る時はいつも一緒だった。
お互いの好き嫌いを誰よりも知っていた。
でも、あまり恋愛の話はできなかったね。
そういえば、リヴァイ兵長の恋人になる前、なかなか彼と話をする機会がなくて・・・
考え込んでいたせいで立体機動のガスボンベの下敷きになった私を見て、笑っていたよね。
“ なんかつらそうだよ。何か悩みでもあるの? ”
いつも気遣ってくれた。
「ヒュー・・・ヒュー・・・」
辛そうな呼吸。
それもだんだんと間隔が広がっていく。
そうだ・・・私が団長と付き合っていると、疑っていたよね。
“ だって・・・最近よく上官用の居住棟に行っているじゃない。しかも帰ってくるのは朝だし・・・ ”
ごめんね・・・あの時、私はハンジ分隊長のお手伝いをしていると嘘をついた。
本当は・・・リヴァイ兵長の部屋に行っていたんだよ。
彼との話をいろいろと聞いてもらいたかった・・・