• テキストサイズ

【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第18章 Till Death Do Us Part ※






馬が土を蹴る音。

流れる風が頬を撫でる。
今は無人となった村に差し掛かったところで、リヴァイは一つの建物に目を奪われた。


「・・・・・・・・・・・・」


それは尖った屋根の建物だった。
建てられてからかなりの年月がたっているのだろう、白い土壁には蔓草が覆い茂り、風見鶏は折れかかっている。
脇には鐘塔があり、錆び付いた鐘がぶら下がっているのが見えた。


何故だろう・・・
心が惹かれる。


「リヴァイ?」

リヴァイの様子に気がついたエルヴィンが速度を緩める。

「どうした? 建物の陰に巨人が潜んでいるのか?」
「・・・イヤ・・・そういうわけじゃねぇが、アレはなんだろうと思ってな」

指差した建物を見て、エルヴィンは首を傾げた。

あんなもの、ここに限らずウォール・ローゼにもたくさんある。
もちろん、地域によって風習が少しずつ違うから全部一緒・・・というわけではないが物珍しいものではない。
しかし・・・リヴァイのこれまでの人生には、まったく縁のないものだったのだろう。

エルヴィンはリヴァイに優しい碧眼を向け、微笑んだ。


「あそこは誓いをたてる場だ」


「誓い・・・」


まるで幼い子供が新しい言葉を覚えるように、リヴァイは首を傾げて繰り返した。
その意味が理解できなかったのではない。

今、自分にとってそれがとても大きな意味を成すように思えたからだ。



「誰かの運命が、自分の運命よりも重くなった時・・・その人物へ誓いをたてる場所だよ」



エルヴィンの言葉が、リヴァイの心に深く響く。

そして、愛しい笑顔が目に浮かんだ。


もし・・・
誓いをたてるならば・・・

自分には、彼女しかいない。


サクラ・・・


お前は・・・俺の誓いを受け取ってくれるか・・・?



「・・・・・・・・・」



リヴァイは古びた鐘塔から目を逸らし、巨人の脅威に晒されているだろう仲間のもとへ急いだ。





/ 781ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp