【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
「彼女は憲兵団に入れるほど優秀な兵士でした。でも、選んだのは調査兵団でした」
“リヴァイ兵長は一人だけど、4000人が立ち上がればリヴァイ兵長クラスの力を人類はいくつも得ることになる”
「きっと貴方を尊敬していたんだと思います。だから・・・彼女は兵長の手で弔って頂きたいんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
リヴァイは静かにテーブルの上に置かれたフリーダの腕章を見つめた。
恐らく、彼女の最期の姿を見たのはリヴァイだろう。
思い出しているのか、その瞳が揺れている。
どれくらい沈黙が流れただろうか。
ふと、リヴァイが立ち上がった。
「勘違いするな」
「え・・・?」
「俺に4000人分の力があるとか・・・そういうのは世間が勝手に言っていることだ」
リヴァイはフリーダの腕章をそっと手に取ると、まるで語りかけるように言った。
「もし・・・“力”があるとしたら、それはこいつのような奴らが残した意志が、この俺に与えてくれたものだ」
その言葉を聞いた瞬間、まるで何かが破裂したかのようにサクラの両目から涙が溢れてきた。
フリーダ、聞こえた?
リヴァイ兵長の力の一部になれたんだよ。
この人が剣を振るうたび、そこに貴方の力も加わる。
「泣いて・・・ック・・・しまってすいません・・・・・・」
いきなり現れて、新兵の腕章を押し付けて“弔ってくれ”だなんて非常識すぎる。
その上、みっともなく号泣されたらリヴァイだって困るだろう。
「・・・構わねぇよ」
しかし、リヴァイは厳しい言葉を言うことなくそばにいてくれた。
「なんか・・・仲間のことを語る時に“過去形”を使うのは寂しいですね」
「ああ」
フリーダの腕章を握るリヴァイの手に力が入る。
「だから、意志を継ぐんだ」
そうすれば、“過去”にはならない・・・
涙で滲んだサクラの瞳に、調査兵団の制服を纏い、誇らしげに敬礼をしているフリーダの姿が映った。
リヴァイ兵長とサクラの力になるよ、と微笑みながら。
「リヴァイ兵長・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「本当に・・・ありがとうございます」
リヴァイの返事の代わりに、テーブルの上のロウソクが優しく揺れた。