【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第17章 Painting Of Love
サクラがリヴァイを見上げる目。
深い尊敬の念が感じられる。
普通の恋人のように、心と身体が繋がっているだけじゃない。
二人は、命すら繋がっているように思えた。
仮に、画家がサクラをさらい、リヴァイを出し抜いて逃げることに成功したとしても・・・
この人類最強の男は、世界の果てまで追いかけてきて、躊躇なく画家を殺すだろう。
また、サクラもリヴァイの元へ帰るため、あらゆる手段を使うだろう。
互いが生きるため、互いの存在を必要としている。
自分の入る余地など、欠片もないんだ。
「・・・・・・・・・・・・」
画家はキャンバスに向かい、二人を描くことに集中した。
無心で描いていた、そのはずだった。
「あ、兵長」
サクラがふいに顔を上げて、いたずらっぽく笑う。
「ちょっと“固く”なってますね」
胸に触れていた右手を下ろし、画家からちょうど死角になっているリヴァイの股間に触れる。
リヴァイは恥ずかしがる素振りを少しも見せず、サクラの額にチュッとキスをした。
「裸のお前をずっと見てりゃ、興奮もする。勃起してねぇだけマシだ」
「そうですね、大きくなった兵長のを描かれたら大変です」
「・・・なら、あんまり触るな。勃っちまうだろうが」
そんな他愛もないやりとりに、画家の心が掻き乱される。
自分もリヴァイのようにサクラに触れてもらったら・・・
そんなことを考えているうちに、体の中心部がジンと熱くなる。
しかし、次の瞬間、冷たい声が蘇った。
“ 少しでも“男”としてあいつの体を見た時は・・・その場でお前の両目を抉る ”
一瞬にして、膨張しかけていた熱が冷えていく。
「・・・・・・・・・・・・」
二人の方へと視線を戻すと、リヴァイがこちらを見ていた。
約束を破りかけたことに気づいているのか、いないのか。
睨んでいるわけでもないのに、全てを見透かすような三白眼に心臓が縮み上がりそうになる。
画家は、自身の股間が硬度を増していないことを確認し、安堵した。
そしてもう一度リヴァイの方を見ると、すでにサクラに優しい眼差しを向けていた。
良かった・・・光を失うことは免れたようだ。