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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第17章 Painting Of Love





「兵長、人の目の前ですよ」

さらに深く求めてくるリヴァイを拒みこそしないものの、サクラは少し困ったように顔を手で抑えた。

「何言ってる。ここには俺とお前しかいない、そうだろうが」
「・・・・・・・・・・・・」

確かに画家の存在は忘れてくれと言われているが・・・
やはり、気になってしまう。

「力を抜け、サクラ。いつも俺の部屋でそうしているように」
「ん・・・」
「そんなに緊張してたら“最後”までできねぇじゃねぇか」
「な、何言ってるんですか! いくらなんでも、」
「冗談だ」

本気にするな、と鼻先を摘ままれる。
まったく・・・いつも思うことだが、真顔で言うからとても冗談には思えない。

「冗談を言う時は、もう少しそれらしい顔で言ってくださいよ」
「ああ、悪かったな」

しかし、おかげで緊張が解けた。
表情も柔らかくなっているし、自然体でリヴァイと向き合える。


「・・・・・・・・・・・・・・」

画家は、なるべく音を立てないようにしながらキャンバスの前に座り、木炭を手に取った。
二人の体勢が落ち着いたらすぐに描き始められるよう、準備しながら待つ。


「サクラ、ここに来い」

リヴァイは高く積んだクッションに上半身を預けると、脇にサクラを座らせて右腕で抱きしめる。
そして、左のこめかみにキスを落とすように唇を寄せた。

「窮屈じゃねぇか?」
「はい」

サクラはリヴァイの腕の中で頷くと、頭を胸に乗せるようにして、右手を厚い胸板の上に添えた。

床に投げ出したリヴァイの脚に絡む、すらりとしたサクラの脚。
右足首のアキレス腱には、戦闘中に負ったものだろうか痛々しい傷痕があった。


カーテンを開け放した窓から差し込む光が、二人を優しく照らす。
恋人達は微睡み、互いの愛情を確かめ合うように寄り添っていた。


「・・・素晴らしい・・・そのままでいてください・・・」

画家の、緑がかった瞳の色が変わる。

細い木炭が、白いキャンバスの上を流れるように滑り始めた。




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