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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第17章 Painting Of Love





「こちらがアトリエです」

画家が二人を案内したのは、借家の二階にある一室。

カーテンのない窓からは明るい光が差し込み、壁一面に備え付けられた棚には絵の具や筆、木炭、パレットなど必要な道具が所狭しと並んでいる。
床のそこらじゅうに絵の具が飛び散り、四隅には埃が溜まっていた。

「汚ぇな・・・」

リヴァイが不機嫌そうに呟く。

こんな場所でジッとしていなければならないなんて。
とりあえず、床だけでもいいからホウキで掃きたい。
というか、窓も壁も机の上も、雑巾でまんべんなく拭きたい。

ここに三角巾があれば間違いなく掃除を始めていただろうが、今日はそのために来たわけではない。

「オイ、せめて窓を開けて空気の入れ替えをしろ。これじゃ、埃臭くてかなわ」
「兵長」

“ダメですよ”とサクラが窘める。
すると、リヴァイはまだ納得がいかない様子だったが、素直に口をつぐんで溜息を吐いた。

「ちっ・・・仕方ねぇな。なら、さっさと始めろ。時間がもったいねぇ」

「は、はい」


画家は少々驚いていた。

世の中では、調査兵団のリヴァイ兵士長と言えば、一人で一個旅団相当の戦力と謳われる、完全無欠の人間。
筋肉隆々の大男をイメージされがちだが、現物は正反対の体躯だ。
それに、神経質で、粗暴で、せっかちな性格のようだが・・・

不思議と、嫌いにはなれなかった。
どこか人を惹きつける力がある。

リヴァイは腕組みをしながら、しかめっ面で辺りを見回していたが、諦めたのか画家の方を向いた。

「で・・・どうすればいい。お前の前に突っ立ってればいいのか?」

「あの、お召し物を全て脱いでいただきたいのです」

画家がキャンバスの前に大量のクッションを並べながら言うと、リヴァイはさらに不機嫌そうに顔をしかめた。



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