【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第17章 Painting Of Love
「サクラ」
本館の方から抑揚の無い声がした。
振り返るとそこには、この壁の中の人間なら誰もが知っている人物。
「リヴァイ兵長!」
サクラは嬉しそうに立ち上がると、胸元に拳を当てて敬礼した。
「そこで何してる」
エルヴィンの所に行く途中だったのだろう、脇には書類を抱えている。
画家は、武装していない兵士長を見るのが初めてだった。
馬に跨っている姿しか見たことが無かったが、まるで女性のような小柄な体に驚きを隠せない。
あの人が・・・人類最強の兵士・・・
「・・・そいつは誰だ」
熱の無い三白眼が、画家を捉える。
眉間にシワを寄せ、サクラと二人きりでいる見かけない男を警戒しているようだった。
別に剣を向けられているわけでないのに、兵士長がこちらへやってくるだけで足がすくむ。
さらに近くで見ると、ものすごい威圧感に目眩がした。
感情をまったく出さない顔、まるで血が通っていないような肌。
相手に恐怖しか与えないような男に見える。
しかし、サクラにとってはそうではないようだった。