【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
広場から一人、二人と立ち去ってゆく。
自分もそろそろ帰るべきなのだろうが、どうしてもその場から足が動かなかった。
どうすれば、フリーダを弔ってやれるのだろう。
フリーダの家族にこの腕章を届けた方がいいのだろうか。
死亡通知を届ける時に一緒に渡してもらうよう、ナナバさんに頼もうか。
どれもピンとこない。
すると、一つの考えが頭をよぎった。
もしかしたら、ご遺族から恨まれるかもしれないけど・・・
「ごめんなさい・・・」
そう呟いて立ち上がると、ハンジの部屋へと走った。
「どうしたの、サクラ?」
ハンジは丁度巨人を繋ぎ終えたところだったのだろう、腕まくりをした姿で出てきた。
「夜分遅くすみません。リヴァイ兵長がどちらにいらっしゃるのか伺いたくて」
「リヴァイ?」
リヴァイはサクラの直接的な上官ではないので、普段どこで生活しているのか分からない。
本部にいる時は大抵エルヴィンの執務室にいるのは知っているが、この時間まで一緒にいるとは考えにくい。
「うーん、この時間なら談話室じゃないかな。壁外調査から帰った日は、よくあそこで一人で飲んでいるんだよ」
「ありがとうございます。では、失礼しま・・・」
「あ、サクラ!」
ハンジは出て行こうとしたサクラを慌てて呼び止めた。
「大丈夫?」
「え?」
「リヴァイから聞いたよ。捕獲作戦が終わった後、一人で巨人と遭遇してしまったって」
「・・・はい。自分があまりにも未熟で、リヴァイ兵長のお手を煩わせてしまいました・・・」
「どうして私達に知らせてくれなかったの?すぐ近くにいたのに・・・」
「・・・それは・・・今回の作戦には一切関係のないことでしたので・・・・・・」
ハンジは驚いたような顔でサクラを見つめた。
同時に少し悲しそうにもした。
「そう・・・でもね、今度は助けを呼んでね。生きて帰ることも作戦に含まれていることを忘れたらだめだよ」
「はい・・・申し訳ありませんでした」
ハンジは、深々と頭を下げたサクラの肩をポンポンと叩いた。
もっと鍛錬を積んで、強くならなければ・・・
一人でも確実に巨人を倒せるように。
そうしないと、またハンジ分隊長にあんな顔をさせてしまう・・・
サクラは自分が情けなかった。