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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第17章 Painting Of Love




「サクラ!」

兵士は、大きな木から飛び降りて巨人をかたどった人形のうなじを切り落とした女兵士を呼んだ。

間違いない、彼女だ。
かれこれ小一時間訓練していたためか、首筋にうっすらと汗をかいている。


「はい!」


その瞬間、画家の心は躍った。

初めて声を聞いた。
なんて若く、瑞々しい声をしているのだろうか。
色で例えるなら、スカイグリーンのようだ。

手招きをする兵士に、何も疑いを持たずにこちらへ駆けてくる。


「サクラ、こちらはトロスト区でアトリエを開いてる画家だ」

すると、サクラは画家に向かい、笑顔で敬礼をした。

「調査兵団第二分隊所属のサクラ・ブルームと申します」

「は、初めまして」

壁外調査に向かう時に見せる、馬上の毅然とした姿はどこへいったのか。
まだあどけなさすら感じられるサクラに、画家は驚きつつも感動を覚えた。

「サクラ、もし訓練が一段落ついているのなら、彼を門まで案内してあげてくれないか」
「はい」
「ついでに中庭へ行って、お前が育てている花壇を見せてやるといい」
「え?」
サクラは少し驚いたように画家を見た。
しかし、すぐに嬉しそうに微笑む。

「はい、分かりました」

「・・・・・・・・・・・・」

兵士の粋な計らいは嬉しいが、突然二人きりにされた画家はどうしていいか分からなかった。
しかし、これを逃したらもう二度とサクラと言葉を交わす機会は訪れないかもしれない。

小さく“よろしくお願いします”と頭を下げた画家に、何も知らないサクラは笑顔で頷いた。






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