【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第3章 Seize the Light
サクラの脳裏に、数カ月前の光景が浮かび上がる。
入団勧誘演説の夜
入団式の夜
配属先が発表された朝
調査兵団に入る新兵が一同に介していた時、この人は必ずそこにいた。
熱弁を振るうエルヴィンの後ろで、静かに兵士達を眺めていた。
考えて見れば、あの場にいる必要など無かったのだ。
分隊長であるミケやハンジと違って、兵士長として独自の班を持つリヴァイ。
102期の中でリヴァイ班に所属された者はいなかったのだから、新兵の顔を覚える必要は無かったはず。
それなのに・・・あの場で興味なさそうな顔をしていながら、これから調査兵となる顔を全部覚えていたというのか・・・?
部下として迎えるために・・・?
「それでもまだ行方が分からん奴もいるが・・・お前、誰かを探しているようだったからな」
「・・・ありがとう・・・ございます・・・・・・これ・・・この半分だけになってしまた腕章は、私の友人のものです」
「・・・そうか・・・」
リヴァイはそれ以上何も言わなかった。
友を亡くした部下を慰めることはしない。
調査兵である以上、死はいつもそこにあるからだ。
いつ訪れるか分からない死の恐怖を乗り越えるだけでなく、
仲間の死を乗り越えることも要求される。
だから、サクラも涙を流すことはしなかった。
友の死を悼むより、まずは無事に帰還することに専念しなければならない。
そうしなければ、弔うこともできないのだから・・・・・・
「総員、出立せよ!ウォール・ローゼへ帰還する!!」
エルヴィンの声が響く。
サクラはリヴァイに頭を下げると、シェリーのもとへと急いだ。
フリーダと、同期達の腕章を握りしめながら・・・