【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「ちょっと・・・悲しくなっていただけです」
「悲しい?」
「エルヴィン団長とロゼが、この快楽を追求するためだけの場所で、人目を避けるようにして会っているということに・・・」
「そりゃ・・・あいつらにも色々あるんだろ」
「その“色々”の中には、リヴァイ兵長も含まれているのではないですか?」
ああ、またその話に戻ってしまったか。
サクラの表情がどんどん暗くなっていく。
「だから、ちゃんと話をしようと言ってる」
「もういいです」
「なんだと?」
「ロゼと兵長が関係を持った事実は、今さら何を言っても変わらないですから」
決して強い口調ではないくせに、どうしてこんなに追い詰められたような感覚に陥るのか。
普段は粗暴なリヴァイが珍しく、言葉を選ぼうとしていた。
しかし、火に油を注がずにすむ上手い言葉が見つからないまま、サクラの方が先に口を開いた。
「兵長」
一歩、リヴァイの方に歩み寄り、悲しそうに瞳を揺らす。
「私は今日、幸せでした。リヴァイ兵長は芝居に退屈していたようですが、私は貴方とデートができて・・・普通の恋人同士のように歩くことができて、本当に幸せでした」
「サクラ・・・」
「だから、なおのこと思うんです。この場所でしか触れ合うことができない団長とロゼは幸せなのかって・・・それでも会いたいほど、お互いを必要としているならば・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
さっき、自分の肩を抱いていた団長の目には、そこにはないロゼの姿が映っていた。
自分との再会を喜ぶ彼女の姿を、後ろからずっと目を細めて見ていた。
間違いない、団長はロゼを大切に思っている。
だけど、それを伝えられずにいるのは・・・なぜだろう。