【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
そこは二階の角部屋で、さすがエルヴィン御用達なだけあって、立派な造りのベッドが中央に置いてあった。
壁側には女性用の化粧台と、男性が髭を剃れるように洗面台が備え付けられている。
リヴァイは天井から吊り下げられているランプに火を灯しながら、サクラをちらりと見た。
こういう場所は当然のことながら初めてなのだろう。
棚に置いてある拘束具、オイル、避妊具などを唖然とした様子で眺めている。
それにしても、自分が前に通っていた売春宿とは雲泥の差だ。
それなりの金は払ってはいるが、ここなら存分に性欲を慰めることができるだろう。
・・・しかし、今日はおそらくどれも必要ない。
お互い特殊な性癖はない・・・ハズだし、そもそもサクラはセックスをするために泊まろうと言い出したわけではない。
「サクラ」
リヴァイに呼ばれ、サクラの肩がピクリと動いた。
「どうした? 怖ぇか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「見ての通り、ここはヤるためだけの部屋だ。怖気付いたなら、帰ってもいいんだぞ」
何も答えないサクラに、リヴァイはどうしたものかと、ため息を吐いた。
「そもそも、こんな場所で話ができるわけがねぇ。お前にその気がないことは分かっているが・・・俺にとっちゃここで朝まで何もできねぇってのが、」
「違います」
ピシャリとリヴァイの言葉を遮る。
そして、棚を背にして振り返った。