【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「おい、サクラ」
ふいに、リヴァイがサクラの体を引き寄せた。
そのまま抱きしめ、キスでもしようとしたのだろう。
しかし、咄嗟に腕を突っ張って押し戻す。
「やめてください。何をするつもりですか」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・今はそんな気持ちにはなれません」
するとリヴァイは顎を上げ、困惑した顔のサクラを見つめた。
「ほう・・・これは珍しいな」
「・・・・・・・・・・・・・」
抱きしめることを諦め、指の先でサクラの頬に触れる。
今度は抵抗されなかった。
「お前が嫉妬するのを見る日がくるとは思わなかったぜ」
心なしか、リヴァイの声は満足そうだった。
たくさんの女兵士から黄色い声援を浴びる姿を見ても、
着飾った貴婦人から男妾の誘いを受ける姿を見ても、
サクラはリヴァイに、嫉妬した表情を見せることがなかった。
むしろ、その女性達の邪魔にならないよう、一歩下がっていることが多かった。
自分は、他の男と親しげに話している姿を見るだけで、サクラをその男から引き離したくなる衝動に駆られる。
もしセックスをしていようものなら、相手を殺すことも辞さない。
こちらはそれだけ執着しているというのに、サクラの方はあまりそのような素振りを見せないというのが、少し寂しくもあった。
怒りを覚えない性格だから、仕方がないのかもしれないが。