【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「やめとけ。こいつの言うことを逐一理解していこうとしたら、脳みそがいくつあっても足りねぇ」
だが、リヴァイは理解しているようだった。
だからこそ、エルヴィンに対して何も言わず、厳しい目を向けているのかもしれない。
「嘘から真実が生まれることがないように、悲劇から生まれるモンなんて知れてる。エルヴィン、それでもお前は・・・」
自分の気持ちを捨てることはしないのか。
決して幸せが待っているとは限らねぇぞ。
エルヴィンは儚げな表情でリヴァイを見つめると、ため息混じりに口を開いた。
「真実を守るために嘘をつくこともあるように、守るべきものの代償として生まれる悲劇や、裏切りは怖くない」
人道的に許されないことであっても・・・
そうやって生きてきた。
そうやって人を殺してきた。
エルヴィンは品の良い笑みを浮かべると、馬車を指差した。
「そろそろ失礼する。彼女を送って行かなければならないからな」
リヴァイ。
お前の言いたいことはよく分かる。
だが俺はどうやら・・・
お前が思うよりも、遥かに馬鹿な男なのかもしれない。
「は、はい! お気をつけて・・・」
敬礼をするサクラと、そっぽを向いているリヴァイに、普段と変わらない“団長の顔”を見せる。
そして馬車に乗り込むと、ロゼと共に狭い路地の闇の中へ消えて行った。