【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
キスされる・・・!
いかに相手が尊敬する人でも、反射的に体が強張った。
しかし、団長の口元はサクラの唇ではなく、先ほどロゼが顔をうずめていた肩に寄せられる。
「・・・?」
エルヴィンは長身を屈め、しばらくの間そうしていた。
まるで、ロゼの痕跡を探しているかのように・・・
「団・・・長・・・」
そして、サクラの髪を優しく撫でてから、ようやく体を離す。
「ロゼは、あんな表情をするのだな・・・」
その声はとても優しく、そして切なげで。
抱いているのはサクラの肩なのに、その目には違う人間が映っているようだ。
「あんなに幼く、感情を剥き出しにするのだな・・・」
ロゼに対する非難・・・?
いや、違う。
ロゼに対する、深い想いが込められた言葉だ。
「オイ、エルヴィン」
リヴァイは自分よりも大柄なエルヴィンの肩を掴み、サクラから離した。
「もういいだろ。いつまでも引っ付いてるんじゃねぇよ」
「ああ・・・すまないな、リヴァイ」
自分以外の男がサクラと密着しているのが気に入らないのだろう、不機嫌そうに眉間にシワを寄せている。
エルヴィンはリヴァイをなだめるように肩を叩いた。
そして、サクラの方へ振り返る。
「サクラもすまなかった。驚いただろう、私が君の友人をこんな場所に連れてきていたと知って・・・」
「いえ・・・何か事情がおありのようですから・・・どうか気にしないでください」
するとエルヴィンは、いつものようにニコリと微笑んだ。
「ありがとう。しかし、その事情が無ければこの“今”は無いと考えると、それはそれで良かったのかもしれないと思っている」
「・・・・・・・・・・・・」
その言葉の意味を理解しようと頭を捻っていると、リヴァイにポンポンと撫でられた。