【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「・・・前にも言ったが、俺はお前と出会うまで普通の恋愛を知らないできた。だから、どうしていいか分からねぇことばかりだ」
「でも・・・兵長は前に、最高のデートをプレゼントしてくれましたよ」
「・・・? そうだったか?」
「忘れちゃいました?」
命懸けで、満開の桜を見せてくれたではないですか。
「あれほど幸せだと思ったことはありませんでした。桜はどちらかといえばつらい思い出だったのですが・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「今では兵長に初めて愛してもらった、かけがえのない思い出です」
「・・・そうか・・・」
リヴァイの瞳が儚く揺れる。
本当は最後まで迷っていた。
二人きりで壁外に出れば、サクラを危険な目に遭わせてしまうのは必至。
守りきれなかった時のことを考えると、および腰になってしまった。
でも、そんな自分の背中を押してくれたのは、ペトラの優しい言葉。
彼女には今も感謝している。
「世界中、どこを探したってあれ以上に素晴らしいデートはありませんよ」
「なら、次の季節も見に行くか? また俺と二人だけの遠征になるが」
「本当ですか? 兵長とならどこまでも行けそうです」
嬉しそうに微笑むサクラが、本当に愛しくて胸が温かくなる。
コイツの笑顔をずっと見ていたい。
そのためなら、なんだってできると思った。
桜の季節ということは・・・新兵が調査兵団に入団する頃だな。
たしか、104期・・・か。
ということはサクラが可愛がっているという三人組も入ってくるわけだし、忙しくなる前に実行しなければ。
「まずはエルヴィンの許可をどうやって取るかが問題だが・・・心配するな。必ず話をつける」
「はい」
必ず、行こう。
あの美しい光景を、もう一度二人で見るために・・・