【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「お前は俺が惚れた女だ。もっと自信を持っていい」
「リヴァイ兵長・・・」
通りの向こうにいる若い男達が、リヴァイを見て興奮気味に何か言っている。
でも、当の本人は一貫して無関心だ。
どんなに騒がれようが、どんなに色目を使われようが、うざったそうに眉をしかめるだけ。
そんなリヴァイに想われる、それだけで幸せな事なのに・・・
負い目に感じるなんて失礼だ。
「申し訳ありませんでした・・・」
「謝る必要はねぇが・・・まあ、変な気は使うな」
ポンポンと頭を撫でられ、思わず笑みが零れる。
やっぱりこの人はとても優しい。
すると、リヴァイは何かに気がついたように前を指差した。
「オイ、あの二人・・・なんだと思う?」
「あの二人?」
指を差す方を見ると、20代前半くらいの男女が寄り添いながら歩いている。
時折見つめ合い、楽しそうに笑うその姿はどこからみても恋人同士のそれだった。
「デートしているカップル・・・ってところですかね」
「やはりな」
納得したように頷くと、突然サクラの手を握った。
ベッドの中で手を重ね合わせたことはあるものの、こうして繋いだまま歩くのは初めてのこと。
「リ、リヴァイ兵長?! どうしたんですか?」
「どうしたって、デートしてるカップルってのはああして手を繋ぎながら歩くもんなんだろ」
「そ、そうなのかもしれませんけど、私達はデートをしているということでいいんですか?」
「・・・俺は最初からそのつもりだったが」
サクラを真っ直ぐと見つめ、“何をいまさら”と眉をひそめる。
「俺とお前が二人で出かけるというのは、そういう事じゃねぇのか?」
「ああ・・・そうですよね。ごめんなさい、変なことを聞いちゃいました」
クスクスと笑いながら繋いでいる手を握り返し、腕をぴったりと付けるように体を寄せた。
その姿はまさに前を歩く恋人達と同じで、リヴァイも満足そうに穏やかな表情に戻る。