【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
翌日、合同訓練をしていたサクラは、リヴァイに呼び止められた。
わざわざ訓練場へ出向いてくるということは、何かよっぽど重要なことなのだろうか。
汗を拭きながら兵士長の元へと急ぐ。
「お前の明日の予定を全て白紙にしてきた」
「え?」
「俺も明日は非番だ」
周囲の目を気にするサクラを余所に、淡々とした口調のリヴァイは二枚の紙切れを差し出した。
いったい何だろうか、と首を捻っていると頭をポンポンと撫でられる。
「芝居だ。エルヴィンが貰ったモンだが、大事な用ができて行けなくなったらしい」
そこまで聞いて、ようやく状況が飲み込めてきた。
「わ・・・私と? いいんですか?」
「俺に、お前以外の誰と行けと言うんだ」
リヴァイは相変わらず無表情だが、サクラは胸がドキドキした。
芝居見物なんて貴族のみに許された娯楽だ。
小さい頃から憧れていた。
それに・・・
リヴァイとプライベートで外出するなんて、初めてのこと。
まるで普通の恋人同士のようだ・・・
「ありがとうございます。楽しみにしてますね」
嬉しくなって笑顔でそう答えると、リヴァイに優しく頬を撫でられた。
「・・・ああ」
だが、その瞳はどこか切なげで。
まるで、幸せである自分と、そうではない誰かと比べて胸を痛めている・・・
そんな表情だった。