【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「まぁ・・・お前があの女に本気だというなら、俺がとやかく言う筋合いじゃねぇ」
「リヴァイ・・・」
「一人の女に惚れ込む気持ちは、分からないでもないからな」
人類のために心臓を捧げる兵士たちを、誰が笑う?
そいつが本気ならば、命を懸けるに値するという信念を持っているならば・・・
それがどれほど愚かな選択だったとしても、尊重すべきだ。
「オイ・・・本気なのか?」
真剣なリヴァイの瞳がエルヴィンに向けられる。
「エルヴィン。俺は、お前の知らないヤツの一面を知ってる。それでもお前はあの女に惚れてるのか?」
三白眼の射殺すような眼差しを、深い色の碧眼は逃げることもせず受け止めた。
無言のまま、互いに見つめ合い、互いにしか分からない意思をぶつけ合う。
数分・・・否、数秒だったのかもしれない。
エルヴィンはふと口元に笑みを浮かべた。
「そんなに言うのなら、お前には明かそう」
リヴァイ。
お前が彼女の何を知っているのか分からない。
事実がどうあっても、真実はどうあっても・・・
「俺にとって、彼女は ____________ 」
団長の本心・・・と信じたい、その言葉を聞いたリヴァイは、ゆっくりと長い睫毛に縁取られた目を伏せる。
「そうか・・・」
命懸けの“博打”ですら、眉一つ動かさずに打つエルヴィン。
数々の死線を乗り越え、人並外れた度胸の持ち主であるはずなのに・・・
どうして、そんな不安そうな顔をするんだ。
もしかしたら、リヴァイにはそう見えただけだったのかもしれない。
だとしても、それ以上は何も言わなかった。
何も・・・言えなかった。