【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「・・・なら、俺と殺し合うか」
冗談にしては重すぎる声。
視線にも隠すつもりのない殺気が込められている。
少しからかいすぎたか、とエルヴィンは思った。
リヴァイは冗談の通じない男ではないが、それは内容による。
元来は愚直な性格だ。
そして、そのような気質を高く評価している。
「本気にするな、リヴァイ。俺がブルームに手を出すわけがないだろう。彼女はお前をコントロールするための、大事な切り札なのだからな」
「・・・・・・・・・・・」
リヴァイは静かに瞬きをすると、顎を上げて団長に少し和らいだ目を向けた。
「そりゃ良かった。命拾いしたな」
「ああ、まったくだ。リヴァイに勝てる気はしないからな」
「白々しい。どうせ負ける気もしてねぇだろ」
確かに戦闘術では自分が勝る。
だが、それ以外ではエルヴィンに劣るだろう。
対人格闘術から兵法まで、あらゆる分野に長けているだけでなく、体格と容姿にも恵まれている。
さらに冷静沈着だが、血の気が多い面も持ち合わせているこの男には、出会った時から圧倒されてきた。
そんな自分がエルヴィンに勝てるわけがない。
エルヴィンもまた、自分を負かそうとしてこない。
だから、お互いの間の均衡がとれているんだ。
それをわざわざ壊す必要はない。
リヴァイは書類の束を机に放り投げ、ドカリとソファーに腰を沈めた。