【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第16章 Light A Fire In The Heart ※
「あんな女にほだされやがって・・・お前、食い尽くされるぞ」
「彼女は巨人ではない」
「そういう意味じゃねぇ」
やはり会うつもりなのか。
しかし何を言っても無駄だし、口ではこの男に勝てない。
そもそも、“彼女”がエルヴィンにとって危険であるという、論理的証拠がない。
いわゆる“勘”というヤツだ。
いや、もっとはっきり言ってしまえば・・・
「俺はあの女が気に入らねぇ。お前に相応しいとも思わない」
あまりにも包み隠さないリヴァイの言葉に、エルヴィンは怒るどころか逆に吹き出した。
「ならば、どのような女性なら俺に相応しいと思うんだ?」
「あの女以外なら誰でも。そうだな、お前の危ない思想や行動を理解してくれる奴がいい」
「その理屈なら、サクラ・ブルームも含まれるな」
「あ?」
新しい作戦の立案書を持っていたリヴァイの指が硬直する。
「いいのか、俺がブルームをそのような目で見ても?」
サクラがエルヴィンに対して強い憧れを抱いていることは、リヴァイも承知だ。
この男が本気で口説きにかかったら、きっとサクラは自分との間に挟まれ、苦悩するだろう。
「・・・年が離れてるだろ」
「いや? お前が毛嫌いしている“彼女”と同年代だ。それにブルームは歳の割りに落ち着いているからな」
「・・・・・・・・・」
リヴァイの瞳に、暗い影が落ちる。
こめかみには薄っすらと血管が浮き出ていた。
“そうか”と呟き、真っ直ぐとエルヴィンを見据える。