【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
「オレはアイツが笑顔でいてくれないと嫌なんです。悲しそうな顔されると苦しくなるし、泣きたくなるんです」
「・・・俺よりデカイ図体して何言ってる」
それは、リヴァイなりの冗談のつもりだった。
しかしエレンには伝わらなかったようだ。
「・・・すいません」
そんな泣きそうな顔で謝られたら、どうしていいか分からなくなる。
リヴァイは小さくため息を吐いて立ち上がると、エレンの隣の席に座った。
こうして肩を並べて腰を下ろすのは、審議所でボコボコにした後以来か・・・?
恐々とこちらを伺ってくるエレンの頭に手を置き、ポンポンと撫でた。
少し癖のある柔らかな茶髪が指に絡む。
「へ、兵長・・・?」
もしここにオルオが居たら発狂しただろう。
しかし、煩い男は今、健気にもリヴァイの言いつけ通り、広間の床を磨いている。
「忘れろ。サクラがそんな小せぇことを気にするような奴でないことぐらい、お前も知ってるだろ」
「・・・・・・・・・」
サクラの笑顔だけ覚えていればいい。
「お前がそんな顔をしてたら、それこそアイツは困った顔をするだろうな。違うか、エレン」
自分以外の男がサクラへの愛情を示していることに、こんなにも救われるとは。
リヴァイの瞳が悲しく揺れた。
そんな兵士長に、エレンは胸騒ぎを覚える。
正規の手段を経て調査兵団に入団していない自分は、まだ他の兵士と顔を合わせていない。
ずっと確かめたかったことがあるが、これまでその機会を得られずにいた。
でも今なら、それをこの人に聞いてもいいだろうか。
・・・否、聞くならこの人しかいない。
そんな気がする。
エレンはラベンダーの花を握りしめながら、唇を噛んだ。
「あのっ・・・一つ聞いてもいいでしょうか?」
「なんだ」
怖い。
でも、聞かなければ・・・
いずれは辿り着く真実ならば、今、この人の口から知りたい。
自分がサクラの名前を出した時、とても優しい目をしたこの人から・・・