【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
やはり・・・という気持ちと、
まさか・・・という気持ちが入り混じって、どのような反応を見せて良いものか分からない。
「2年前に調査兵団に入団しているんですが・・・リヴァイ兵長はご存知ですか?」
「・・・あ・・・ああ・・・知ってる」
するとエレンは嬉しそうに、大きな瞳を輝かせた。
「サクラはオレと同じシガンシナ区出身で、知り合ったのは5年前ですが、とても親しくしてもらいました。すごく優しくて・・・」
よほど慕っているのか、頬を上気させて話すエレンに、思わずリヴァイも眉間のシワを緩める。
サクラが弟のように思っていた理由が少し分かるような気がした。
「調査兵団に入ってからも、何度かオレ達の駐屯所に遊びに来てくれて・・・つい、2か月前もオレが訓練兵を卒業するっていうので、会いに来てくれたんです」
「2か月前・・・」
それを聞いたリヴァイの顔に、僅かだが苦痛の色が浮かんだ。
おそらく、そのことには気づいていないだろう。
しかし、エレンもまた表情を曇らせる。
「でも、オレ・・・アイツに謝らなきゃならないんです」
「謝る?」
エレンはラベンダーの花へ視線を落とすと、肩を震わせた。
「オレ、最後にサクラに会った時、無理やりキスしちゃったんです」
「・・・・・・・・・・・・」
「恋愛とか、正直今もよく分からないけど・・・きっとオレはサクラが好きだったんだと思います」
食卓の上に広げられたラベンダー。
その香りは、柔らかい微笑みを、優しい手の温もりを、思い起こさせる。
「それで・・・何でお前はサクラに謝りてぇんだ? 好きならキスしたいと思うのは当然のことだ」
まさかリヴァイが反応してくれるとは思ってなかったのだろう。
エレンは少し意外そうにした。
「それは・・・サクラが困ったような顔をしてたから・・・それがずっと引っかかってて・・・」
もしかしたら、サクラには恋人がいるのかもしれない。
だから自分に対して嫌悪感を抱いたかもしれない。