【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
「エレン・・・この花を何故・・・?」
「オレの大切な人が教えてくれたんです。この香りは心を落ち着かせてくれるって聞いたから」
少しでもリヴァイ兵長や、特別作戦班の人達の気が休まればと思った。
それにミカサやアルミン達と離れている寂しさも紛れればいいと。
「・・・俺もそう教わった」
だが今の自分にとって、この花の効果は真逆だった。
ラベンダーから目を逸らしながら、香りを避けるように食卓の隅に腰を下ろす。
「俺は、足湯の中にその花を入れてもらったことがある」
「それ、オレも好きでした。リヴァイ兵長もそういうことをするんですね」
共通する部分を見つけたのが嬉しかったのか、エレンは珍しく表情を輝かせた。
しかし、逆にリヴァイの表情は険しくなる。
「まあ・・・それも1度だけだったがな」
「それなら、今晩にでもオレがご用意しましょうか?」
「いや・・・」
どうせもう二度とあの時のような安らぎは得られない。
それに思い出すのもつらい。
「お前が自分のためにやれ。俺はいい」
「そう・・・ですか・・・」
しょんぼりとするエレンに、少し罪悪感を覚えた。
おそらく自分と打ち解けようと、子どもなりに考えていたのだろう。
しかし、同時に前々から抱いていた疑念も強まった。
この花を知っているということは、もしかしてこいつ・・・
「なあ、エレン・・・お前にラベンダーを教えた大切な奴っていうのは・・・」
「あの・・・」
エレンは少し言葉に詰まった。
しかし、リヴァイの方を向くと、意を決して口を開く。
「サクラ・ブルームです」
その瞬間、鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。